福島県東部棚倉地域に分布する新第三系久保田層中のセラミックス原料の特性

竹下 浩征・草野 高志・郷津 知太郎・板谷 徹丸

 応用理学分野において,地質学は地盤性状の評価や資源開発,自然災害対策の検討などに重要な役割を果たしています.本研究は地質学の研究手法を用いて工業製品の特性を明らかにするというユニークな地質学の応用事例であります.本研究は,福島県東部棚倉地域に分布する新第三系久保田層凝灰質砂岩(セラミックス原料)を主たる対象として,文献調査,地質調査(堆積相の記載),各種分析(粒径分布,構成物のモード組成,X 線回折分析による粘土鉱物組成,全岩化学組成および微化石組成)により,その記載岩石学的特徴と地球化学的特性を明らかにし,堆積環境の推定に加えて,セラミックス原料としての工業的特性の検討を行いました.その結果,久保田層の凝灰質砂岩は,各種工業製品の材料として一般的なシラスと類似した組成を持ち,かつ陶石となる粘土鉱物を含み,さらには多孔質な珪質微化石も含んでいることが明らかになり,特に微化石の存在がセラミックス原料としての重要な特性であることが指摘されました.なお,本研究が対象とした棚倉地域は,東北日本と西南日本の境にあたり,学術的な面からも同地域の地史の解明に貢献するものと期待されます.

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