MMCO 時期以降の吉備高原の隆起量の推定
―削剥量にもとづいて―

乙藤 洋一郎

 著者は,「地質技術」第10号において,中期中新世にあった全世界規模の温暖期(MMCO: Middle Miocene Climatic Optimum)のレヴューを行い,吉備高原に分布する中新統(備北層群および勝田層群)の標高,化石による推定水深およびMMCOの汎世界的海水準を用いて,MMCO以降の吉備高原の隆起量を見積もりました.しかしながら,著者はその後,化石による推定水深には不確定要素があることを鑑み,別のアプローチで隆起量を見積もることを模索しました.そして,これまで地質学の研究ではあまり対象とされていなかった削剥量を導入することで,MMCO時の水深の見積もりに制約を与え,隆起量を推定することを考案しました.本論文では,削剥量の求め方についても各手法のレヴューを行っており,この点においても充実した内容となっております.

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