表層崩壊地における「表土層」の樹脂固定標本

井上 善夫・藤原 誠・香本 佳彦

 本研究は,花崗岩類分布域の表面方かい地にみられる表土層に着目し,地質学的な観察・記載を行うことで,表土層が本来保持している特徴や構造を明らかにすることを目的としている.
 表土層はその性状未固結かつ極めて軟弱であるため,表土層本来の微細な構造を保った状態でえの露頭観察・記載が困難である.そこで著者らは,表層崩壊地の滑落崖において表土層ブロック試料採取し,樹脂固定標本の作製を試みた.資料採取は浜崎ほか(2002)の柱状土壌モノリス採取法に準じ,藤原(2013)に則って樹脂固定・研磨を行った.作製した標本には表土層本来の微細な構造が保持されており,表土層の層相と割れ目について詳細な観察が可能になった(井上ほか,2014:本誌参照).

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