西南北海道積丹−洞爺地域の熱水鉱床のK-Ar 年代

沢井 長雄・板谷 徹丸

 
 西南北海道の積丹半島から洞爺湖にいたる地域には,多種多様な熱水鉱床が数多く分布している.
従来,これらの熱水鉱床はすべて中新世に形成されたと考えられていたが,いくつかのK-Ar 年代が測定されると,鉱脈鉱床の形成時期は黒鉱鉱床よりも新しいことが指摘された.筆者らは豊羽鉱床を手始めに,積丹−洞爺地域に分布する45 の鉱床,計78 試料についてK-Ar 年代測定を行った.その結果,熱水鉱床は15.4Ma から0.5Ma までの約1,500 万年間にわたって形成されているが,大局的に見ると中期中新世,後期中新世,鮮新世以降の3 回の鉱化ステージがあり,鉱床タイプ別に鉱床形成時期が異なることが示された.すなわち,中期中新世には主に黒鉱鉱床が,後期中新世には多くの銅鉛亜鉛鉱脈鉱床が,鮮新世以降には金銀,銅鉛亜鉛,マンガン,硫化鉄,重晶石などの鉱脈鉱床が形成された.

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