X線回折分析(XRD分析)

試料中に含まれる結晶(鉱物)の同定,相対量比の決定を行います.試料を粉末化した後,その粉末にX線を当てて回折パターンを調べます.その結果として岩石に含まれる全ての鉱物(結晶)を反映した回折パターンが得られます.回折パターンを検討することで,岩石に含まれる鉱物の種類や,相対量比を決定することができます.

岩石や堆積物中に含まれる鉱物の同定をする目的の他,膨潤性鉱物(スメクタイトなど)の有無や,変質の特徴を把握するために変質鉱物を決定する際に用いられます.

特に有効と思われる点

  • 鏡下観察で同定が難しいほど細粒な鉱物であっても,結晶であれば回折パターンが得られるため検討できます.例えば微細な粘土鉱物の同定に有効です.
  • 回折パターンで鉱物種の同定を行うため,検討する鉱物が一定量(10%以上)含まれていれば見落としや見間違えは通常ありません.
  • エチレングリコール処理,塩酸処理、加熱処理などを組み合わせる事で,回折パターンが重複するような場合でも鉱物種の決定が可能です.

ご注意頂きたい点

  • 鉱物の含有量が5%より少ない場合には,その鉱物を検出,同定出来ない事があります.
  • 定量的な量比の決定は苦手です.
  • 粉末化するために,岩石の組織の情報は得られません.