測定手法について


主な測定目的


測定対象物

  • テフラ,火山岩,断層破砕帯などの中の石英
  • 化石骨,歯(ヒドロキシアパタイト)
  • 鍾乳石,貝,サンゴ(カルサイト・アラゴナイトなど)
  • 風成・水成堆積物(石英)
  • 海底熱水鉱床中の重晶石

原 理

  • 自然放射線の被曝により,試料中に不対電子が蓄積していくことを利用します.
  • 総被曝線量と年間線量率をそれぞれ測定し,総被曝線量を年間線量率で割ることで年代を求めます(TL,OSLと同様).
  • 総被曝線量は,蓄積した不対電子の量を電子スピン共鳴(ESR)測定によって求めます.
  • 年間線量率は,U,Th,Kの濃度から求めることが一般的です(弊社では通常,Ge検出器を用いたガンマ線測定を実施します).
  • ESR信号は,被熱や鉱物の変質により減衰し,完全であれば年代がリセットされます.
  • ESR
    <クリックで拡大

特 徴

  • 測定対象物の種類が多い手法です.
  • 複数のESR信号が得られる試料については,年代測定に適したESR信号を選択します.
  • 約数千年~200万年前の範囲の年代測定が可能です.
  • 河床堆積物の後背地,風成塵の起源の推定などにも利用できます.

測定のための注意点

  • 試料ごとの不対電子の蓄積効率や飽和量,年間線量率の変動などによって測定可能な年代範囲が異なります.
  • 被熱や鉱物の変質によって信号が減衰していると,年代を過小評価する場合があります.
  • 年代の誤差(測定誤差)が一般に10~20%あり,さらに大きくなることもあります.
  • 骨や歯は土中でウランを吸着するため,年間線量率の変動モデルを考慮する必要があります.


関連する研究報告誌「地質技術」