断層岩のESR 年代測定 -最新活動年代の検討と年間線量率決定のための工夫-

郷津 知太郎

 断層岩のESR 年代測定は,測定対象となる石英の信号が断層活動時の熱および応力によってリセットすることから,断層の活動時期を直接決定できる可能性があります.しかしながら,断層活動によってESR 信号がリセットされる領域は非常に狭く,特に地表付近の試料では信号のリセットが十分でない場合もしばしば見受けられます.本論は,断層活動によるESR 信号のリセットが不完全な場合でも,ESR 年代と年間線量率との相関を検討することによって最新活動年代が推定できる可能性を示しています.また,年間線量率の計算に必要なU,Th の定量について,ICP 質量分析法によって測定した先行研究の例を紹介し,それが分析時間の大幅な短縮になると共に微少量での分析をも可能にすることを示しています.

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