古第三紀神戸層群中の北畑凝灰岩層に含まれる黒雲母の化学組成

谷 保孝・中川 渉

 本研究では,主に古第三紀神戸層群北畑凝灰岩層に含まれる黒雲母のEPMA 分析結果より得たmg# 値{mg#=100×Mg/(Fe+Mg)}とmg#-MnO 関係図に関する特徴について報告する.北畑凝灰岩層は兵庫県三田盆地に分布する神戸層群の鍵層になる凝灰岩層のひとつである.同一地点の北畑凝灰岩層から層準が異なる10 試料を採取し,分析・検討した.全体的にみると,黒雲母はmg#=47〜51 とmg#=53〜56 に分かれたバイモーダルな特徴を示す.また,MnO 値は,高いmg# 値の黒雲母より低いmg# 値の黒雲母の方が大きい傾向がある.上述の黒雲母の特徴は本地点の凝灰岩層内部で共通することから,黒雲母のmg#-MnO 関係図は北畑凝灰岩層の対比指標として有効と考えられる.ただし,高いmg# 値を持つ黒雲母が1 粒子しか確認できない試料もあるため,対比する場合に高いmg# 値を持つ黒雲母が検出されない可能性もある.

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