Web 版岐阜県地質図『ジオランドぎふ』の開発と活用

小井土 由光・棚瀬 充史・大庭 哲哉

 
 岐阜県地域を構成する大地は,先カンブリア時代から第四紀に至るきわめて幅広い地質時代に形成された各種の岩石類からなり,それらが3,000m を超える高度差の中に複雑な地質環境を形成して分布している.個々の地域における地質についてはこれまでにも数多くの研究成果が出されてきており,とりわけ1980 年代以降になってきわめて多岐にわたる地質情報が飛躍的に増えたことにより,かなり詳細な地質環境の様相が明らかにされるようになった.同時に,それらが整理され,まったく刷新された地質概念が構築されことで,形成過程に関するこれまでの理解レベルが格段に向上した地質単元も生まれてきた.こうした状況を踏まえ,1990 年代中ごろから『岐阜県地質鉱産図及び概説』(岐阜県,1970)を改訂しようとの機運が高まってきた.とはいえ,最新の地質情報を一枚の地質図で表現しようとするには多くの検討課題があり,とても単なる改訂作業では済まないことも明らかとなり,その具体的な作業はほとんど進まなかった.
 “岐阜県地質図”を改訂ではなく,新たな構想のもとで作成・開発する本格的な作業が動き始めたのは,当初の段階から20 年ほど経過した2013 年4 月からである.かなりの時間をかけて取り組める条件が整ったことで,約1 年半の期間を経て2014 年11 月にWeb 版岐阜県地質図システム『ジオランドぎふ』(http://www.geo-gifu.org/geoland/)として公開した.その後も微修正や追加等を続けているが,ここでは『ジオランドぎふ』の作成・開発にあたって,新たな構想のもとでの作成の方針とその内容を紹介し,あわせてシステム内容の特徴および今後の活用等について述べる.

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