地球科学専攻学生のための就業体験 としての地質調査アルバイト:蒜山地質年代学研究所2008-2014 年間実績

曽根原 崇文

 
 株式会社蒜山地質年代学研究所(以下,弊社)は,地球科学系専攻の学部生・大学院生等をアルバイトとして積極的に採用している.これは単に業務を補助する人員が必要という業務管理上の要求からだけではなく,専攻分野に関連する地質調査業界に興味を持った学生に,就業体験の場と生計を助ける手段を提供するという目的もある.そのような学生の中には,就業体験を経ることで地質調査業界への就職を志す者もおり,業界の将来を担う若手の育成と確保に寄与することが期待される.実際に著者を含め弊社社員の多くは,弊社アルバイトを経験して入社に至っている.また,弊社以外の大手・中堅企業へ就職した者も多い.一方で,地質調査業界への就職を考えていたものの,思い描いていたものとは異なり,違う道を選んだ者もいる.その点では就職後のミスマッチを防ぐという役割も果たしていると考えられる.このような実態を鑑みれば,弊社におけるアルバイトは,我が国におけるインターンシップ(学生が在学中に自らの専攻,将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと:文部科学省ほか,2014)とほぼ同じものと考えることができる.もっとも弊社ではインターンシップを制度として設けているわけではない.その点において,弊社における学生アルバイトの積極的な活用は企業特色の一つと言えるであろう.
 著者は2007 年9 月に入社して以来,地質調査業務のアルバイトの窓口的な役割を担当してきた.そこで弊社創立20 周年のまとめの一つとして,2008 年から2014 年までの7 年間にわたる地質調査アルバイトの実績を整理し,そのデータから就業体験の場としての弊社地質調査アルバイトの特徴について考察してみる.また,著者はこの7 年間で多くのアルバイト学生に協力をしてもらい,彼らとのやり取りの中で様々な経験をしてきた.その中で著者が感じたアルバイト学生に対する期待や自身の学生指導に対する心構えを最後に述べる.

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