CNS元素分析

CNS元素分析は有機元素分析の1様式で,ガスクロマトグラフ法によってC(炭素),N(窒素)およびS(硫黄)の定量を行います.測定用試料は均質化を目的として10g程度を粉末にします。次に試料を燃焼させ,ガス化した有機元素を測定し,検出されたガスの量に基づき試料中の各有機元素の含有量を決定します.

CNS元素分析の活用例としては「堆積環境の推定」や「酸性水発生リスクの評価」などがあります.

「堆積環境の推定」に関しては,全有機炭素/全窒素比(C/N比)は堆積物の供給源(海成、淡水成)を推定する指標として有用です.また、全有機炭素/全硫黄比(C/S比)は堆積環境(海成,汽水成,淡水成)を推定する指標として有用です.

「酸性水発生リスクの評価」では,硫黄の含有量から黄鉄鉱の多寡を確認することが主眼となります.掘削岩などの中に黄鉄鉱が多く含まれている場合,地下の還元的環境から酸化的環境にもたらされると硫酸が発生することがあります.この時,湧水が酸性となるだけでなく,酸性水中にはしばしば有害な重金属などが溶け出します.そのため,網羅的に全硫黄濃度(TS)を求め,盛土材などへの転用の是非の指標とします.