円筒状の貫入岩体による母岩温度の時間変化の簡易解:
表計算を使った野外調査での簡単見積もりツール

兵藤 博信

 
 火成岩が貫入する際に周りの岩体を加熱する.いわゆる接触変成をおこす.古地磁気学では磁性鉱物のキュリー温度以上になると岩石の磁化が完全リセット,それ以下では部分リセットを受ける.火成岩のNRM(自然残留磁化)がTRM(熱残留磁化)であることを確認するコンタクトテストにおいて,母岩側のNRM を知りたいとき,またその磁気ベクトルが火成岩による加熱の影響を受けていないことが保証される距離でのサンプリングを行うとき,リセットの範囲を野外で簡単に把握することが必要になる.
 野外で簡単にその貫入時の温度分布を知ることができれば効率的にサンプリングを行うことができる.そこで,差分法を用いて貫入時からの時間と温度の関係が簡易的に計算できる表計算プログラムを開発した.このプログラムでは岩体のサイズや貫入温度のパラメータを変えて計算することができる.またノートパソコンなどで持ち歩くことも可能である.

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