廃校校舎を活用した地球科学系博物館設立構想

竹下 浩征・板谷 徹丸

 
 私達が年代測定を実施するために廃校を利用したいと考え始めたのは,2013 年秋のNPO 法人地球年代学ネットワーク(以下,NPO 法人と略称する)の設立総会前後だったと記憶しています.原案はNPO 法人発起人の一人である鈴木和博先生です.当初は廃校がこんなに至る所にあるとは想像できなかったので,実現性の低い話しだと考えていました.例え廃校があったとしても,それは相当な田舎にあるだろうし,市内からの通勤は困難だろう.そう悲観的に思いながらも一応は調べてみるかと,地元のことに詳しいだろうと思われた友人・知人に情報提供を呼びかけてみました.すぐに分かったのは岡山県北部の山間部になら廃校があるということでした.岡山市内からその廃校まではクルマで2 時間以上もかかるほど離れていました.予想通りではあったのですが,少しだけ落胆しました.2014 年に入ると廃校以外で現実的な施設を確保しようと試みたのですが,対象とした施設の使用条件が厳しくて結局活用することができませんでした.やはり廃校だ.そう思い直して廃校を探し始め,候補を絞って利用計画を書き続け,最終的に岡山市の1 校に的を絞って行動したのですが,結果としては法令の壁に阻まれて成就することができませんでした.しかし,そのチャレンジによってNPO 法人の存在を岡山市と周辺市町に認知していただき,さらに私達の果たすべき社会的役割についてもかなり明確になったと感じています.本稿では,NPO 法人の活動を多くの方々に理解していただく一助とするために,私達が構想した廃校の利用計画の内容と,それを実現させるために尽力いただいた方々との出会いについて記すことにします.

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