EPMA およびXRF 分析による火山ガラスの化学組成:
 入戸および阿蘇4 火砕流堆積物の例

曽根原 崇文

 陥没カルデラを形成するような破局噴火をもたらしたマグマの性状を岩石学的手法により検討するにあたり,噴火で形成された火砕流堆積物中の本質岩片と火山灰基質の化学組成を比較するという試みが,本研究の発端になっております.この研究では,本邦における代表的な第四紀広域テフラの供給源に当たる入戸火砕流堆積物と阿蘇4火砕流堆積物を対象に,電子線マイクロアナライザー(EPMA)および蛍光X 線分析(XRF)を用いて,軽石の石基ガラスおよび火山灰のガラス片の化学分析を行いました.このEPMA 分析値自体は既往分析値と特に差異はないですが,この研究では火山灰ガラスの粒径・形態による化学組成の比較,火山灰ガラスと軽石ガラスの化学組成の比較といった既往研究にはあまりない視点から検討を行っております.また,EPMA による粒子レベルの分析値とXRF によるバルク試料の分析値の比較により,バルク分析値が示す意味や風化による元素移動についても考察しています.なお,両堆積物の火山ガラスに関する微量元素データは蓄積が少ないことから,公開された分析値はテフラ対比の基礎データとして役立つものと考えられます.

△クリックするとPDFファイルを表示できます