ルミネッセンス法による被熱履歴推定の概要

小畑 直也・下岡 順直

 ルミネッセンス年代測定研究においてタイムゼロイングが不十分な場合は年代の過大評価につながるため,リセット現象そのものをルミネッセンス法によって研究することも行われている.TL のリセット要件となる被熱については,被熱の有無の判別や温度推定が可能である.ここでは,TL グローカーブの形状を観察し,主に被熱の有無について判定する方法を「TL グローカーブ形状法」,TL 信号の感度変化を観察し,主に被熱温度を推定する方法を「TL 感度変化法」,IRSL 信号の感度変化を観察し,主に被熱温度を推定する方法を「IRSL 感度変化法」と呼称し,それぞれの方法の手順を紹介した.実際の測定例として考古遺跡から得られた焼土に対してTL グローカーブ形状法とIRSL 感度変化法を適用し,500℃程度の熱を受けた焼土であると推定した例を併せて紹介する.

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