薩摩半島南部海岸沿いに点在する阿多火砕流堆積物の粗粒岩相の岩相記載と定置温度の推定

里和 玲伊・鈴木 桂子・中岡 礼奈

 発生頻度は低いものの破局的災害をもたらすカルデラ火山噴火に対する知見は,防災対策のみならず,高レベル放射性廃棄物の地層処分など中長期的な計画にとって重要な情報です.著者らは,約11万年前に鹿児島湾に存在したとされるカルデラから噴出した阿多火砕流堆積物について,流動堆積機構モデルの制約を目的として,粗粒な石質岩片を含む特異な岩相に着目し,地質学的および岩石磁気学的手法を用いて,その形成過程について検討しました.その結果,阿多火砕流は,取り込んだ粗粒な石質岩片までも590℃以上の状態にもたらすほどの高い温度を,流動堆積過程において保持していたことを明らかにしました.

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